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2007年12月 1日 (土)

勤務医の「当直」と、労働条件

 「人命を助けるため家族とはなれ、病院の近くのマンションに住んで、手術に明けくれている」

 ――これはテレビで医師の激務を取り上げた番組での医師の一言です。

 また、他の番組では「当直明けに通常の診療をして36時間働いている」ともいわれています。

 わたしは、この「当直」という勤務が、労働時間にあたるのかどうか、分かりませんでした。それで、医療関係の労働組合のホームページを探したり、本で読んだり、また人から聞いたりして、勉強しました。

 医師不足が社会問題として急浮上しています。では、医師はどのように考えているのでしょうか。

 「ことしの目標は、精も根も尽き果てるような働き方をせずとも安全な医療が提供できること」、これはある民間病院の女性医師が上司にあてた年賀状の一節です。(民医連のホームページ http://www.min-iren.gr.jp の「そして病院から医師がいなくなる~まともな医療とわたしたち医師の未来のため日本の医師を増やす運動を呼びかけます」から)

 「精も根も尽き果てる…」、オイオイ「チョット待ってよ」、わたしたち患者はそんなフラフラの先生に診てもらっているの? 守山市民病院に、そんなことがあるようなら、ただちに改善を求めます。

 医労連のホームページ http://www.irouren.or.jp/ に医師を対象にした「医師不足問題」アンケートがあります。いくつか拾ってみます。

・当直明けがなく36時間の連続勤務が強いられる状況が改善されることなくつづき、ミスが起こるのも当然とも言える。常に訴訟ととなり合わせ。時給にしたら1500円程度、これほど割に合わない仕事とは思わなかった。

・医師が医局からの引き上げ、開業などでどんどん減ってきており、それにより時間外労働の増加、一人あたりの患者数の増加など生じている。そろそろ自分の努力も限界に近く、勤務医からの離脱(開業)を真剣に考えはじめている。

・呼吸器科と神経内科がなくなってから内科、循環器科、脳外科を中心に全体にしわ寄せがきており、かなり限界に近い状況だと思います。

・時間外は当直医がいるが常勤医も365日24時間常にオンコールの状態にあり、精神的ストレスが非常につよい。

・診療以外の書類関係業務がここ10年内に急激に増加し、ゆとりがなくなってきている。公的書類の増加は特にひどい。

・女性が働くには本当につらい職種だと思う。毎回気を失うぐらいの強い生理痛があるが、休むことはできないし、下痢嘔吐がひどく消化器科Drから入院を勧められても入院できず、外来診療と手術を通常通りやっていたこともある。

・1年間で内科医が7人辞職してしまい診療が重なって通常の業務ができない。さらに当直の回数も倍になって体力的につらい。当直明けも手術があったりと常に余裕がなく患者さんのためにならない。

・科の特性からカテーテルなどの緊急に備え、ほぼ毎日、病院近辺での拘束を受けている。また、実際待機も決まっているが、待機料も支払われていない。人並みの休日がほしい。

・産婦人科の仕事は不規則なon coll による業務が圧倒的に多い。実働時間以上に現実は拘束されており、単純に時間だけで業務の負荷は評価できないが、現状でもかなり日常生活上の負担が大きいと感じる。

・小児科は報酬に直接結びつかない仕事が多いが、報酬に結びつかないというだけで、まったく評価されず、不愉快な思いをする。部長職以上になると時間外手当が付かず管理側は時間外労働の実態を把握しようともしない。

・現状では労働基準法に時間、賃金ともに違反している。

・小生一人医長のため病棟患者の対応は24時間365日交代はありません。医長のためとして、時間外労働もなく明らかな労働基準法違反です。ホワイトカラーイグゼンブションが導入されれば全医師にこのような状態が合法化されることになりとうてい許すことはできません。

・医師不足により待ち時間が長くなり、調子の悪い患者さんに迷惑になる。

・電子カルテの導入により、診察の洋々な無駄を生じ、結果的にすべての雑用が医師にまわってくるようになった。効率も極端に低下している。

・当直明けの翌日業務がつらい。意識ももうろうとして手術をすることもある。

 男女を問わず、全国的に「医師が不足し業務が増えている」こと、「拘束されているにもかかわらず賃金が支払われていない」ことが述べられています。しかも、深刻なのは、医師が自分の健康を守れないほどの状況だということです。07

 さて、わたしがもっとも気にしてのは、勤務医の夜間勤務の「当直」ということです。

 「当直は勤務時間にあらず」………、?・!。「何ですって―」、「当直」で職場に拘束されているのに、し・ご・と・で・な・い、だって。

 これは、本田宏さんの著書『誰が日本の医療を殺すのか』で、中堅医師の「過労自殺」が「医師が病院で当直している時間は労働基準法では勤務時間にカウントされない」として労働災害法による遺族補償の給付をしない決定をした(2003年3月)ことを批判する部分に紹介されたものです。

 これが、わたしが「当直」という勤務で引っかかっていたことです。職場で拘束されていて、業務の指揮命令の下にある。それが、「勤務時間としてカウントされない」、つまり「ただ働き」ではないかということです。勤務時間にカウントされていないから、制限ができない。看護師の場合は、「夜勤」ですが労働時間として扱われ、交代勤務になっています。医師の「当直」は、勤務時間ではないから交代になっていない。

 これは、大問題ですよ。36時間の連続労働をしても、「当直」の部分は労基法の上ではカウントされず切られているのです。そして、賃金も、支払われていない。病院によって業務の量が異なるのは当然ですが、医師の夜間勤務を「当直」なのか「夜勤」なのか、明確にすることが求められると思います。

 医師が、人命を守るために「当直」で夜に、前の日勤と後の日勤と、連続して働いても、カウントされていない。その分の人員も「要員」にはカウントされていないことになるんじゃアーないですか。少なくとも、「当直」の人員をカウントすることが必要ではないでしょうか。わたしは、そう見ました。

 看護師さんは、「看護師をふやせ」とナースウェーブの運動をすすめてきました。医師の「ドクターウェーブ」も、もっと大きな運動になることを応援します。

   ゆうたろう

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  • 井上ひさし: 『ボローニャ紀行』
     イタリアのボローニャ市は、職人の町で精密機械は世界的な評価をえている。町作りも、市民が討論し組合を立ち上げ、行政が支援している。レジスタンスも勉強になった。ボローニャ大学は、医学の歴史でも、なかなかおもしろい。
  • 堤未果:: 『ルポ 貧困大国アメリカ』
     米国野村證券に勤務中、9・11同時多発テロに遭遇し、その後ジャーナリストとなった経歴の著者が見て、聞いて、そして書いた大国アメリカの底辺の実態。日本の政府と経済界が押しすすめるグローバリゼイションと、新自由主義の行き着くであろう世界です。(岩波新書)  
  • 南木佳土: 『信州に上医あり―若月俊一と佐久病院―』 ・
     信州(長野県)に佐久病院というのがある。農村である。封建的だった。そこへ「アカ」といわれる若い医師が東京から着任した。  「予防は治療に勝る」と、出張診療をするなど、地域に医療をコツコツと築いた。  「医療」とか「地域医療」を考えるのに、一度は目を通したい本である。
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