医師需給検討委員会「報告書」への疑問(5)
いままで、医師の需給を検討するのに「一人の医師はどれだけ働くのか」の基準となる労働時間について考えてきました。
イヤ~、もうビックリですワ。検討委員会が「あるべき姿の労働時間は週48時間」としていることは、まったくの驚きでした。「なぜっ?」って、労働時間を指導・監督する官庁は、医師の需給を所管する官庁でもある同じ厚生労働省なんですヨ。指導する立場の官庁から出される公の文書の「報告書」が、法律を無視しているのですから。
それは、研修医の労働時間と、賃金です。今度は、医道審議会医師分科会医師臨床研修検討部会の第3回の会議からの資料を見ます。
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(1)勤務日数(回数)
ア)主な研修先での勤務状況として「日勤(日/週)」「当直日勤(回/月)」「当直宿直(回/月)」を、大学付属病院では5.5日・1.7回・3.3回、臨床研修病院では5.6日・1.8回・3.7回、その他の病院では5.9日・1.6回・3.6回。
イ)アルバイト先での勤務状況が、アと同じ項目で、大学付属病院が0.7日・0.7回・2.2回、臨床研修病院が0.6日・0.6回・1.7回、その他の病院が0.5日・0.6回・1.3回となっています。
労働基準法では、労働時間に関する部分については「通算」することになっていますから、それぞれ加算しますと。
大学付属病院 6.2日 2.4回 5.5回
臨床研修病院 6.2日 2.4回 5.4回
その他の病院 6.4日 2.2回 4.9回
となります。労基法では「日直は月1回」、宿直は「週1回」ですから、ここでも労基法の違反があります。
(2)診療時間 (診療科ごと入院受け持ち医の
1週間あたり入院診療時間)
研修医1年目 研修医2年目
内科 78.4 75.0
外科 79.3 58.6
小児科 68.4 72.0
その他 50.9 51.4
ここでも、労働時間は「週40時間」ですから、違法状態が明らかです。
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賃金については
研修医の収入(月平均)を、研修先、アルバイト先、収入合計をそれぞれ、
全体(平均) 21.7・14.6・36.2
大学病院 19.7・16.1・35.8
臨床研修病院 23.8・12.0・35.7
その他の病院 28.7・12.7・41.3
となっています。(単位:万円)
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この資料には、「研修医の労務管理ずさん」などの新聞のコピー(朝日 2001/4/28 )が添付されてます。見出しは、この後に「関西医大など書類送検 労基法違反容疑」とあります。2枚目は、「研修医死亡事件で関西医大起訴猶予 労基法違反容疑」です。3枚目は、「研修医哀歌 薄給が過密勤務を、過労がミスを生む」とあり「病院支える安い労働力 勤務は週114時間 月給は奨学金6万円」とあります。
研修医の労働条件は、劣悪ですネ。封建時代の親方に仕える弟子のような感じとでも言いましょうか。医療の科学・技術の進歩のすばらしさとは、まったく裏腹ではありませんか。
検討委員会は、この状況を「医師数」の検討でどのように反映させたのでしょうか。労働時間は、キチンとカウントされているのでしょうか。
検討委員会の会議では「研修医」に触れた部分もありますが、その中には「無給の研修医」がいること、そして研修は「労働」であるという位置づけがされ「研修時間、業務の義務、指導者の設置、処遇、給与、宿舎」などの整備が必要になった大学のことが話されています(第10回)。何と! いまの世に、無給ですと。これは、ひどい。ひどすぎる。
無給の研修医のなかには、「病院に寝泊まりして腕を上げるために研鑽している」というような前時代的な、イヤ失礼、真剣な青年もいるそうです。日本の教育機関は、自己負担が多すぎますヨネ。国が、もっと学費を、教育予算を、せめてヨーロッパなみに出せば、研究もトレーニングももっと専念できるのに。一日も早く、ルールを守った「あるべき姿」に、是正されることを期待しています。国民として、患者としても、黙ってはおれません。
ちなみに、勤務医の研修や教育は、労働安全衛生法によって事業者が行うことになっています。もちろん、勤務時間内に! にです。
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女性の医師が働きやすくすることも、「医師不足」を解消するために欠かせません。
出産や育児で、「働きたくても働きに行けない」は、片方では「医師がほしい」といっているのに、何が壁なのか。ここでも医療現場の労基法違反に目が向きます。出産=産前産後の休暇、そして保育園の確保を病院が行う、――これは、検討委員会の会議のなかでも前向きな話し合いが行われた、と「議事録」を読んで感じました。
第10回目の検討委員会で、参考人の清野佳紀・大阪厚生年金病院長は次のように話しています。
「勤務医で小児科の医師が、5割ぐらい女性が入ってきて、その人たちが40歳ぐらいで5割がやめてしまう……。辞めるいちばん大きい理由は妊娠・出産・育児・子供の教育がほとんどです。
ところが、同じような職場で、女性がほとんどの小学校の教員と比べてみますと、いまに女性医師に対する環境整備が未熟であるかが分かります。例えば、「あなたの職場は次の制度がありますか?」というと、妊娠時の深夜勤務・当直免除がないのが3割、産休の代替え要員がないのが5割、産休中の身分保障などは当然のことですが、これもないのが2割、育児休業制度がないのが3割と、すでにほかの職種では法律で完全に認められていることが、女性医師に関してはいまだに整備されていない……」と。
そして、「私は、自分の病院でやってきたことですが、徹底的な子育て支援をしよう、勤務制度面は非常に柔軟にやろう、この二つが女性医師をつなぎとどめておく中心であると考えています」と、経験を語っています。
さらに、「こういうことは各病院が個別にたまたま院長がやるからというのではなくて、本来は国全体のシステムが必要だと思います」とも述べています。まったく同感ですネ。
「一人前の医師になるのに10年から20年かかる」といわれています。育児などで「働きたくても働けない」女性医師が、保育園さえあれば復帰できる、「当直」がなければ日中に働ける。「医師不足」で「医療崩壊」が、すさまじい勢いで進行している現在、女性医師の出番をつくってください。医療の現場は一生懸命がんばっています。つぎは、行政が、医師と国民の利益を守る番です。
それにしても、医療の世界に、「なぜこんなに違法状態が多いのだろうか ???」――? 「白い巨頭」とか、厚生労働省って、どんなところだったの? 国民の医療は、どうなろうとしているのか。
ああ、きょうは、心配で眠れないかも……。花粉症で、鼻づまりのせいもあるかも。
近所のしだれ桜が、ちらほらと花をつけていました。昨日の雨は、きょうの花粉症にはつらいのですが、木々や草たちには恵みの雨だったと思います。
ゆうたろう



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